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計算生命科学の基礎Ⅳ

計算科学と生命科学の融合:基礎から医療・創薬・人工知能への応用まで[全15回]

生命科学の研究分野は、計算機科学・シミュレーション科学・統計学・構造科学などの発展に連動して研究領域の拡大と深化を遂げています。その急速な発展は農学や医学、健康関連分野に大きな影響を及ぼし、また知識の融合を促し研究分野のパラダイムシフトを現実のものにしています。その原動力となっているものの一つが、コンピュータを活用する計算生命科学です。計算生命科学はDNAに刻み込まれたゲノム情報、タンパク質の構造情報、ヒトレベルでの健康・疾患情報などを含むビッグデータを解析・システム統合し、シミュレーションでの予測によって生命を理解し、医療分野への応用の基盤となる学際領域です。今後、データサイエンスやAI技術などの新たな科学領域や技術と組み合わせて、次世代技術・知識が創生される舞台となります。このプログラムは、日本バイオインフォマティクス学会・CBI学会の企画協力を得て、生命科学と理工学の学際研究領域である計算生命科学に興味をお持ちの様々な方々に、その基礎と今後の展望を学んでいただき、様々な分野で基礎から応用までの研究開発を支える人材の育成を目指しています。

日程 2017/10/4(水)~2018/1/24(水) 毎週水曜日 17:00~18:30
場所

配信会場:神戸大学計算科学教育センター セミナー室208(神戸大学統合研究拠点2階)

講師へ直接質問できる機会もございますので、ぜひ会場でもご受講ください!(定員30名)

会場以外からは、WebEX(インターネット)による受講が可能です。事務局からの招待状メールの指示に従って、PC・モバイルから記載URLにログインするだけで、どこからでも参加可能です。

対象者 大学生、大学院生、ポスドク、大学教員、研究所・企業の研究者
担当講師 鶴田宏樹(神戸大学学術・産業イノベーション創造本部/工学研究科 准教授)
岡田随象(大阪大学大学院医学系研究科 遺伝統計学 教授)
白井 剛(長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部 教授)
川端 猛(大阪大学蛋白研究所 寄付研究部門 准教授)
瀬々 潤(産業技術総合研究所 人工知能研究センター 機械学習研究チーム長)
平野敏行(東京大学生産技術研究所 助教)
福澤 薫(星薬科大学 薬学部 准教授)
鷹野 優(広島市立大学大学院情報学研究科 医用情報科学専攻 教授)
池口満徳(横浜市立大学大学院生名医科学研究科 教授)
広川貴次(産業技術総合研究所 創薬プロファイリング研究センター 研究チーム長、筑波大学 教授)
本村陽一(産業技術総合研究所 人工知能研究センター 首席研究員兼モデリング研究チーム長)
田中佐智子(滋賀医科大学医学系研究科 社会医学講座医学統計学 教授/滋賀大学データサイエンス学部 准教授)
水口賢司(医薬基盤・健康・栄養研究所 バイオインフォマティクスプロジェクト プロジェクトリーダー)
本間光貴(理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター 制御分子設計研究チーム チームリーダー)
田崎武信(塩野義製薬 解析センター 元センター長)
講義内容

はじめに 計算生命科学の概要(担当:鶴田 宏樹)《10月4日(水)》

生命科学の研究分野は、計算機科学・シミュレーション科学・統計学・構造科学などの発展に連動して研究領域の拡大と深化を遂げている。その急速な発展は農学や医学、健康関連分野に大きな影響を及ぼしている。その原動力となっているものの一つがコンピュータを活用する計算生命科学である。本講義では、計算生命科学を取り巻く環境と将来について理解を促しつつ、講義全体の導入紹介を行う。

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第1編 ゲノムから構造までのインフォマティクスの基礎

【参考図書】
1. 岡田 随象(企画)「ゲノムデータをどう扱えば、医学と医療は変わるのか〜」羊土社(実験医学 2016年10月号)
2. 日本バイオインフォマティクス学会編 「バイオインフォマティクス入門」慶應義塾大学出版会(2015)
3. 藤 博幸編「タンパク質の立体構造入門―基礎から構造バイオインフォマティクスへ (KS生命科学専門書)」講談社 (2010)
4. 岩崎 憲治. 2016. 新時代:クライオ電子顕微鏡による近原子分解能での解析. 領域融合レビュー, 5, e010 (2016) DOI: 10.7875/leading.author.5.e010
5. 上野 豊, 他.「解説 電子顕微鏡によるタンパク質立体構造の単粒子解析」日本物理学会誌 57(8) 568-574.
6. Joachim Frank. 2006. Three-Dimensional Electron Microscopy Of Macromolecular Assemblies. Oxford University Press.
7. 瀬々潤、浜田道昭「生命情報処理における機械学習 多重検定と推定量設計(機械学習プロフェッショナルシリーズ)」講談社 (2015)

▼1.1「遺伝統計学の基礎と応用」(担当:岡田 随象)《10月11日(水)》

遺伝統計学(statistical genetics)は、遺伝情報と形質情報の関わりを統計学の観点から研究する学問分野であり、一次的に処理されたゲノム情報を適切に解釈し、社会還元するためのデータ解析学問として注目されている。大規模ヒト疾患ゲノム解析により同定された数多くの疾患感受性遺伝子の情報を、多彩な生物学・医学データベースと分野横断的に統合することにより、新たな疾患病態の解明や、疾患バイオマーカーの同定、新規ゲノム創薬、疾患疫学の謎の解明、等に貢献できると期待されている。

▼1.2 「ゲノミクスからの構造インフォマティクス」(担当:白井 剛)《10月18日(水)》

大規模ヒト疾患ゲノム解析により疾患関連変異の探索は極めて効率化されたが、通常その情報を疾患メカニズムから創薬などの応用へ繋げるためには、分子構造の解析が必要になる。このとき、ゲノム情報量と分子構造情報量のギャップが問題となるが、構造インフォマティクスはこのギャップを埋めるための手段である。この講義では、なるべく具体例を示しながら超分子モデリング、相互作用予測、疾患変異マッピング解析などの手法について解説する。

▼1.3 「電子顕微鏡解析」(担当:川端 猛)《10月25日(水)》

近年、低温電子顕微鏡の単粒子解析による3次元分子構造の解析技術が大きく進展し、X線結晶解析・NMRに並ぶ第三の構造解析技術として定着しつつある。この進歩は、電子直接検出器などのハードウェアの刷新とともに、EMAN2,Relionなど優れた画像処理プログラムの開発によるものが大きい。本講義では、単粒子解析の情報処理の各技術(2D画像分類、3D画像再構成、原子モデリング)を順に説明し、大量の2D画像データ群から高解像度の3D画像と原子モデルを推定するための計算法を概説する。

▼1.4 「機械学習・人工知能技術入門」(担当:瀬々 潤)《11月1日(水)》

生命科学から算出されるデータを解析することで、基礎免では生命の理解、応用面では医療、創薬、農学へと繋げていく期待は高い。本講義ではこれらの解析の基礎となる企画学習や数理統計技術の説明にはじまり、いわゆる人工知能の導入を行う。その上で、計算生命科学への応用に関する現状と議論を行う。

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第2編 構造生命科学のための分子シミュレーション

【参考図書】
1. 柏木浩(著・監修)「タンパク質密度汎関数法」森北出版(2008)
2. 佐藤文俊, 中野達也, 望月祐志「プログラムで実践する 生体分子量子化学計算 – ProteinDF/ABINIT-MPの基礎と応用」森北出版 (2008)
3. 福澤 薫 「量子論に基づくタンパク質―化学物質相互作用解析~FMO創薬の実現に向けた取り組み」 日本薬理学雑誌 149, 240-246 (2017)
4. S. Tanaka, Y. Mochizuki, Y. Komeiji, Y. Okiyama and K. Fukuzawa, “Electron-correlated fragment-molecular-orbital calculations for biomolecular and nano systems” Phys. Chem. Chem. Phys., 16, 10310-10344 (2014)
5. 神谷成敏, 肥後順一, 福西快文, 中村春木著「タンパク質計算科学(基礎と創薬への応用)」共立出版(2009)

▼2.1 「計算生命科学のための量子化学基礎」(担当:平野 敏行)《11月8日(水)》

量子化学シミュレーションは、実験化学と相補的に用いることで物性・化学反応の解明に威力を発揮する、強力な研究手法である。コンピュータの性能向上と計算手法の進歩により、これまで難しいと考えられてきた大規模生体分子の量子化学シミュレーションが実用的になりつつある。量子化学シミュレーションの理解を助ける量子化学計算理論・計算法や分子生物学の基礎から、最新のタンパク質カノニカル量子化学計算について紹介する。

▼2.2 「フラグメント分子軌道法に基づく創薬分子設計の現実と課題」(担当:福澤 薫)《11月15日(水)》

タンパク質の全電子計算が可能なフラグメント分子軌道(FMO)法によって、これまでにない高精度の構造ベース創薬が可能になってきている。FMO法は、新規化合物の精密な設計や合理的なリード化合物の最適化、インシリコスクリーニング、さらにはビッグデータに基づく創薬へと繋がることが期待されている。講義では産学官連携のFMO創薬コンソーシアムやスーパーコンピュータの活用など、FMO創薬の現状と課題について概説する。

▼2.3 「QM/MM方を用いたタンパク質の機能解析」(担当:鷹野 優)《11月22日(水)》

タンパク質は巨大かつヘテロな系であり、機能を有効に発揮できるように、その「かたち」を変化させる。タンパク質機能の理解・予測に、機能発現に関わる局所部分(活性中心)には量子力学(QM)を、活性中心を取り囲むタンパク質の「かたち」の変化には古典力学(MM)を適用したQM/MM法は極めて有効である。本講義ではQM/MM法の理論背景からはじめ、タンパク質の機能解明への応用について紹介する。

▼2.4 「生命系の分子動力学シミュレーション」(担当:池口 満徳)《11月29日(水)》

生体分子モーターなど、多くの生体分子は動くことで機能している。そのような生体分子の動きについて、コンピュータによって研究する方法が分子動力学シミュレーションである。本講義では、分子動力学シミュレーションの基礎から、タンパク質や核酸などの生体分子に適用した事例まで解説する。

▼2.5 「分子モデリングおよびシミュレーションを活用したインシリコ創薬支援」(担当:広川 貴次)《12月6日(水)》

タンパク質立体構造解析技術の発展により、構造生物学データを起点とした創薬支援研究が本格的に促進されている。しかし、構造生物学データの中には、特定の条件や環境に依存した構造情報もあり、そのままのデータでは創薬へ適用が難しいものがある。分子モデリングや分子シミュレーションは、このような問題を補完できる技術として注目されている。講義では、構造生物データと創薬を橋渡しする高度なインシリコ創薬支援技術について概説する。

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第3編 計算生命科学の医療・創薬への応用

【参考図書】
1.本村陽一, 岩崎弘利著「ベイジアンネットワーク技術」東京電機大学出版局(2006)
2.鈴木 譲,植野 真臣編著,黒木 学,清水 昌平,湊 真一,石畠 正和,樺島 祥介,田中 和之,本村 陽一,玉田 嘉紀著「確率的グラフィカルモデル」共立出版(2016)
3.本村陽一 編著 (著), 竹中 毅 編著 (著), 石垣 司 編著 (著) 「サービス工学の技術―ビッグデータの活用と実践」東京電機大学出版局(2012)
4. 産業技術総合研究所著 「社会の中で社会のためのサービス工学~モノ・コト・ヒトづくりのための研究最前線~」カナリア書房(2014)
5.水口賢司「創薬の初期研究におけるデータベース構築とモデリング」学術の動向(2017)7月号掲載予定
6.夏目やよい, 水口賢司「計算システム生物学による創薬:分子、構造からネットワークへ」日本薬理学雑誌Vol. 149 (2017) No. 2 p. 91-95
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/149/2/149_91/_article/-char/ja/

▼3.1 「確率モデリング技術の基礎と応用~ビッグデータ活用のための人工知能技術」(担当:本村 陽一)《12月13日(水)》

ビッグデータを活用する人工知能技術に大きな期待が寄せられている。実社会で生成される各種のビッグデータを活用する人工知能技術として機械学習の発展が近年爆発的な性能向上をもたらした。本講義では機械学習分野に概観と、その中で不確実な現象のモデル化に用いられる確率モデリング技術の基礎と応用について解説する。

▼3.2 「ヒトを対象とした医学研究のデザインと解析手法」(担当:田中 佐智子)《12月20日(水)》

ヒトの健康・疾病に関連するリスク要因を探求する場合、ヒトを対象とした医学研究の実施が必要となる。本講義では、健常人10万人を追跡した大規模研究において、遺伝子・バイオマーカーなどのリスク要因を評価するための研究デザインと解析手法を紹介する。また、患者を対象とした医学研究のデザインと解析手法についてもふれ、高次脳神経機能やバイオマーカーの評価の実例を紹介する。

▼3.3 「計算システム生物学と創薬」(担当:水口 賢司)《1月10日(水)》

コンピュータによるモデリングを実現するための基盤技術として、1)データ統合とデータベース構築、2)機械学習を中心とする統計モデリング、3)一般的な基本原理に基づく数理モデリング、の3つをあげることができる。特に、異なった種類のデータを統合することは各種モデリングの鍵であり、これらの概念を中心に計算システム生物学の創薬研究への応用を概観する。

▼3.4 「インフォマティクスとシミュレーションを融合したインシリコスクリーニングと最適化設計」(担当:本間 光貴)《1月17日(水)》

近年の創薬において、タンパク質-リガンド間のドッキングによるインシリコスクリーニングは無くてはならないものとなっている。また、現場の創薬ではヒットが得られた後の活性やADMETプロファイルの向上を目指した設計も重要である。本講義では、インシリコスクリーニングの精度を向上させるためのポイントについて説明するとともに、ヒットが得られた後の設計手法についてAMEDの創薬インフォマティクスシステム構築で開発中の心毒性予測モデル等を含めて紹介する。

▼3.5 「Real World Data:統計か疫学かコンピュータサイエンスか」(担当:田崎 武信)《1月24日(水)》

統計学を愛するがゆえにデータマイニングを学び、統計学を愛するがゆえに機械学習を学び、そしていまは、統計学を愛するがゆえに疫学を学んでいる。いまの疫学は昔とくらべ格段にてごわく、社会科学分野の「実証分析」にも応用されている。ずいぶん(数十年)前になるが、神戸大学の計測工学/システム工学で統計学を非常勤で14年間教えた。そこでは学生から多くのことを学んだ。その経験を踏まえ、医療データの解析で存在感を持ち続けている統計学を紹介したい。

コーディネーター 白井 剛(長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部 教授)
田中成典(神戸大学大学院システム情報学研究科 教授)
森 一郎(神戸大学大学院 科学技術イノベーション研究科 特命教授)
鶴田宏樹(神戸大学 学術・産業イノベーション創造本部/工学研究科 准教授)
江口至洋(神戸大学 学術・産業イノベーション創造本部 客員教授)
渡邉博文(神戸大学計算科学教育センター 研究支援推進員)
共催・後援

共催:神戸大学計算科学教育センター、神戸大学学術・産業イノベーション創造本部、神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科、理化学研究所生命システム研究センター ポスト「京」重点課題1、産業技術総合研究所創薬分子プロファイリング研究センター、理化学研究所計算科学研究機構、計算科学振興財団
後援:兵庫県、神戸市、公益財団法人都市活力研究所、NPO法人バイオグリッドセンター関西
企画協力:日本バイオインフォマティクス学会、CBI学会

配信テスト・WebEX接続方法等

【配信テスト】下記日時に、受講登録者向け配信テストを実施いたします。お時間のご都合が宜しければ、ぜひ事前に一度アクセスしていただき、お使いのパソコン環境および通信状況等のご確認をお願いいたします。

アクセス用URLが記載された招待メールは【前日】に送信させていただきます。招待メールが届かない場合やうまく接続出来ない場合は、当センター事務局(ls-contact@eccse.kobe-u.ac.jp)までお問合せください。


【1回目配信テスト日時】※決まり次第お知らせします

【2回目配信テスト日時】※決まり次第お知らせします

※音楽等配信しますので、通信状況・接続方法のご確認をお願いいたします。


 

 

その他

各講師より公開許可をいただいている講義のみ、その講義映像をプログラム終了後に公開する計画(2018年6月頃)です。

昨年度の「計算生命科学の基礎III」の講義の一部については、
http://www.aics.riken.jp/category/course/course-base_2016
で公開されています。

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