計算生命科学の基礎10
~ 融合するAI、データサイエンス、生命科学、そして次の10年をみすえて~
1月31日の講義終了時にアナウンスいたしましたが、本講義シリーズは2023年度を持って終了となりました。(=2024年度の開催はありません)
これまで受講していただき、誠にありがとうございました。
10年目の節目となる今年も、生命科学と理工学の接点をなす「計算生命科学」の研究を進めていくための基礎講座とした15回の講義を開催します。 講義は、世界中どこからでも無料でオンライン受講が可能です。
なお昨年度までの講義の一部をアーカイブとして公開しています。
講義趣旨
本年この遠隔講義「計算生命科学の基礎」は10年目となり一区切りの時期を迎えました。この間、機械学習(AI)技術の劇的な発展により、生命科学分野の様相は一変しました。研究自体をAIが行う未来予測も散見されるようになりましたが、この分野の包括するゲノムから生態までの多様で膨大なデータを、物理・化学・生物学・数学・データサイエンスなどの異なるバックグランドの知識を使って解析するには、未だ力不足と思われます。したがって、AIと計算生命科学の知識を駆使して新しい知見を生み出す人材の必要性は、今後の10年でさらに高くなると予測されます。この遠隔講義では、未来の医療や創薬の基盤となる生命科学のデータサイエンスやシミュレーション技術の基礎から応用までを、第一線で活躍されている先生にご講義頂くことで、受講者に計算生命科学に興味を持って頂くきっかけとなり、この学際的研究分野で活躍する人材育成に寄与することを目指しています。本講義は、日本バイオインフォマティクス学会・CBI 学会の企画協力を得ています。
日程 | 2023/10/4(水)~2024/1/31(水) 毎週水曜日 17:00~18:30 ただし、11/15(水)のみ、特定の学会との重複のため、11/17(金)の講義になります。また、10/4、11/8、12/13は各編のガイダンスのため18:40までとなります。 |
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対象者 | 大学生、大学院生、ポスドク、大学教員、研究所・企業の研究者 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
スケジュール ...基礎・初学者向け |
第1編 生命科学のためのデータサイエンスの基礎
第2編 構造生命科学のための理論・シミュレーション技術
第3編 未来をみすえた医療・創薬への応用
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講義概要・資料・参考図書など ...オンデマンド再放送あり |
第1編 生命科学のためのデータサイエンスの基礎10月4日(水) 17:00~17:10「はじめに 計算生命科学の概要」(担当:長浜バイオ大学 白井剛) ▼10月4日(水) 1.1「ゲノムインフォマティクスの基礎」
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第2編 構造生命科学のための理論・シミュレーション技術
11月8日(水) 17:00~17:10「第2編の説明」(担当:神戸大学大学院システム情報学研究科 田中成典)
▼11月8日(水)
2.1「生体分子動力学シミュレーションの基礎と応用」
奥村 久士(自然科学研究機構 生命創成探究センター 准教授)
【講義資料】
【講義後の質問(PW)】
生体系の分子動力学シミュレーションを行うために必要な基礎知識とその応用について講義する。具体的には原子の時間発展方法、温度または圧力の制御による各種統計アンサンブルの生成方法、構造サンプリングを効率的に行う手法である拡張アンサンブル法などを講義する。これらの手法の応用例として、我々のグループで行った病気に関連するタンパク質の分子動力学シミュレーション研究についても紹介する。
▼11月17日(金) ※11/15(水)ではありません!
2.2「インシリコ創薬の基礎と応用」
広川 貴次(筑波大学 医学医療系 教授)
【講義資料(PW)】※オンデマンド再放送は、11/20(月)16:00~11/26(日)24:00までになります。
インシリコ創薬の代表的なアプローチであるLigand-based drug design(LBDD)およびStructure-based drug design(SBDD)について、基本的な内容及び、それぞれの長所や創薬支援に活用する際のポイントについて概説する。さらに応用事例についても国内外の先行研究をいくつか紹介したい。
▼11月22日(水)
2.3「代謝システムのトランスオミクス解析」
黒田 真也(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授)
【講義資料(PW)】 【講義後の質問(PW)】
※オンデマンド再放送は、11/24(金)16:00~11/29(水)24:00までになります。
生命活動は、ゲノム・エピゲノム・トランスクリプトーム・プロテオーム・メタボロームの各階層を介した複数のオミクス階層が密接に連動したトランスオミクスネットワークにより制御されている。本講義では、代謝システムにおけるトランスオミクス解析について述べる。また、トランスオミクスにタンパク質の構造を加えたstructureomeについての試みも簡単に紹介する。
▼11月29日(水)
2.4「タンパク質人工設計の基礎」
古賀 信康(大阪大学蛋白質研究所 教授)
【資料配布なし】 【講義後の質問(PW)】
近年、様々なタンパク質が合理設計されている。本講座では、タンパク質デザインソフトウェアRosettaを中心としながら、タンパク質の合理的な構造および機能設計について、その現状と今後の展望について解説する。
▼12月6日(水)
2.5「光合成系の理論研究と分子シミュレーション」
鬼頭 宏任(近畿大学理工学部エネルギー物質学科 准教授)
【講義資料(PW)】(12.26更新)
光合成では、その初期過程において、励起エネルギー移動反応や電子移動反応が生体環境下で巧みに制御され、最終的に非常に高いエネルギー変換効率が実現されている。この講義では、光合成蛋白質の構造情報や(定常/高速時間分解)分光実験情報をもとに、分子シミュレーションを用いて光合成初期反応素過程のメカニズムを理解するための理論研究手法について解説する。また関連する量子生命科学の研究についても紹介する。
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第3編 未来をみすえた医療・創薬への応用
12月13日 17:00~17:10「第3編の説明」(担当:医薬基盤・健康・栄養研究所 伊藤 眞里)
▼12月13日(水)
3.1「情報技術が変える医療・医学の未来の姿」
黒田 知宏(京都大学 医学部附属病院 医療情報企画部 教授)
【講義資料(PW)】
【講義後の質問(PW)】
電子カルテ解禁から早四半世紀、改めて述べるまでもなく、情報革命は確実に医療や医学を変えつつある。Dog Yearで進む情報技術の10年後を予想することは極めて難しいが、情報技術とは何なのかの基礎に戻って学び、その知識に基づいて情報技術が医療の何をどう変えていくと想像されるのかを展望する。
▼1月10日(水)
3.2「AI・ビッグデータ時代の創薬科学」
山西 芳裕(名古屋大学大学院情報学研究科 複雑系科学専攻 生命情報論講座 教授)
【資料配布なし】 【講義後の質問(PW)】
我々のグループでは、疾患に関するマルチオミクス情報・臨床情報、化合物に関する化学構造・遺伝子発現・標的分子情報などの医薬ビッグデータを融合解析し、創薬や医療における様々な課題を解決するための機械学習アルゴリズムの開発を行っている。当日は、創薬標的探索、ネットワーク創薬、シナジー創薬学、細胞直接変換、医薬品分子構造設計などへの応用例を紹介する。
▼1月17日(水)
3.3「「データ×AI」で挑む包摂的コミュニティを支える社会技術の開発」
榑林 陽一(東京大学大学院薬学系研究科附属創薬機構 構造展開ユニット 客員教授・ユニット長)
【講義資料(PW)】
【講義後の質問(PW)】
自治体が保有する健康・医療に関わる住民のビッグデータは悉皆性が高く、精緻なデータであるが、殆どが要配慮個人情報に分類されるものである。そのため、個人情報保護法による規制の対象となっており利活用が進んでいないのが現状である。今回の講義では、自治体が保有する医療ビッグデータと最先端の「説明可能な人工知能」を活用した「自立リスク個別予測モデル」等の包摂的な地域コミュニティを支える社会技術の開発について我々の研究を中心に詳説する。
▼1月24日(水)
3.4「デジタル技術による精神医学の今後の展望と課題」
岸本 泰士郎(慶應義塾大学医学部 特任教授)
【資料配布なし】
精神疾患における症状の定量化の難しさは、診断の遅れや不一致につながり、治療評価をわかりにくくしている。演者らは、IoTデバイスや人工知能技術を用いることで、このような問題を解消できないかと考え、複数の医療機器開発に取り組んできた。例えば、リストバンド型ウェアラブルデバイスを用いたうつ病スクリーニング機器や、自然言語処理を用いた認知症スクリーニングを行う技術などである。講義では、これらの新規医療技術開発を例としてあげながら、今後のIoTデバイスや機械学習を用いた医療機器開発の展望やその課題について議論する。
▼1月31日(水)
3.5「AIを利用した精神疾患の診断、治療、創薬支援 」
川人 光男(株式会社国際電気通信基礎技術研究所 脳情報通信総合研究所 所長)
【講義資料(リバイス)】
【講義後の質問(PW)】
人工知能技術、ブレインマシンインタフェースを含むブレインテックは、現代社会のデジタル化を急激に進め、社会の構造を変革している。コロナ禍と相まって、このような急激な社会変化は、心の不安をかきたて、精神疾患や依存症が増えている。脳科学と人工知能で心の不安に対処する戦略については、精神疾患診断と治療の現状と問題点をまず説明する。脳科学と人工知能を組み合わせて、客観的な診断のためのバイオマーカーが開発できること、また薬物に頼らない新しい治療法について説明する。
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Zoomウェビナーを使ったオンライン受講になります。最大同時受講者数は1000名までです。
最大同時受講者数を超えることはまず起こらないかと思われますが、もし超過のため受講できなかった場合は、オンデマンド再放送にてご受講ください。
※今年度より全ての講義はオンライン受講となり、会場での開催は行いません。
アクセス用URLが記載された招待メールは【前日】および【当日直前】に送信されます。招待メールが届かない場合やうまく接続出来ない場合は、当センター事務局()までお問合せください。
【受講上のご注意】PDF (23.9.5改訂)
【Zoom接続方法と接続できない時の対処法】PDF (23.10.3改訂)※一部、昨年の画像が残っています。後日修正します。
【Zoom文字起こし機能について】(2022年度作成分ですが、参考までにどうぞ)PDF
【NEW】
※聴覚障害のある方向けに、受講者様の環境で文字起こし機能が選択できるよう設定しています。文字起こし機能はZoom社が提供するものを使用しておりますので、場合により精度が今一つの時がありますことをご了承ください。
当センターでは、音声トラブルなどについてご対応いたしますが、基本的なパソコンの操作方法についてはサポートの対象外とさせていただきます。あらかじめご了承ください。
こちらをご覧ください
【注意】再放送の公開期間は、原則としてライブ講義があった週の木曜16時から火曜24時までとなっております。(一部例外あり)
・上述のとおり、11月15日(水)のみ、11月17日(金)に振り替えとなります。11月15日(水)に講義はありませんのでご注意ください。
・[注意]今年度より、1講義でもお申込みされた方には、全ての講義の案内(講義URLや再放送の案内等)を送信します。選択した講義以外の案内は一切不要という方は、申し込みフォームの質問欄に「選択した講義のみ」とご記入ください。
河野 秀俊(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 プロジェクトディレクター)
白井 剛(長浜バイオ大学バイオサイエンス学部フロンティアバイオサイエンス学科 教授)
田中 成典(神戸大学大学院システム情報学研究科 教授)
鶴田 宏樹(神戸大学バリュースクール 准教授)
間島 慶(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 量子生命情報科学チーム 研究員)
森 義治(神戸大学大学院システム情報学研究科 客員准教授/慶應義塾大学大学院理工学研究科 特任准教授)
八幡 憲明(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 量子生命情報科学チーム チームリーダー)
共催:神戸大学大学院システム情報学研究科 計算科学教育研究センター、神戸大学バリュースクール、医薬基盤・健康・栄養研究所、京都大学 大学院医学研究科 ビッグデータ医科学分野、計算科学振興財団、日本生物学的精神医学会、兵庫県立大学データ計算科学連携センター、一般社団法人ライフインテリジェンスコンソーシアム、理化学研究所 計算科学研究センター、量子科学技術研究開発機構
後援:兵庫県、神戸市、神戸医療産業都市推進機構、NPO法人バイオグリッドセンター関西、日本薬学会
企画協力:日本バイオインフォマティクス学会、CBI学会
各講師より公開許可をいただいている講義のみ、その講義映像をプログラム終了後に公開する計画(2024年5月頃)です。
昨年度の「計算生命科学の基礎9」の講義の一部については、こちら で公開されています。
Facebookでは最新の講義の様子を報告しています。お気軽にフォローして下さい。
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よくある質問・FAQ
こちらをご参照ください
神戸大学大学院システム情報学研究科 計算科学教育研究センター事務局: